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大腸内視鏡挿入時における痛みの原因・麻酔の是非 闇雲に、麻酔をしている医療機関を選ぶのは安易な考え方です |
「麻酔」とは何か。→「痛みを和らげる」、「痛みを感じさせなくする施術」です。
これから痛いことをする、例えば抜歯や手術、麻酔ナシではできません。「痛い」とわかっているから麻酔をする、当然の話です。逆に言えば、痛くないことをするのに、麻酔をかける必要はありません。つまり、大腸内視鏡検査においても、痛くしなければ麻酔が不要なのは当然です。
痛くない、あるいは麻酔の必要のない程度の痛みしか与える事のない、大腸内視鏡検査が提供できる腕があれば、麻酔は全く必要ありません。しかも麻酔はデメリットだらけなのを、受ける側として周知しておいた方が良いと思います。
ホームページで、麻酔を使用して「痛くない」をうたっている医療機関は山ほどあります。麻酔して痛くないなんて、当然じゃありませんか?医師の技量のレベルが全て麻酔でごまかされているようなものです。
肝心なのは、デメリットだらけの麻酔を使用しなくても、胃カメラよりも全然楽で、大した苦痛もない大腸内視鏡検査を行う事ができる腕を持っている医師や、そのような評判の医療機関を、ネットなどで賢く探して受ける事が最も安全で大切な事です。
しかし、大腸内視鏡検査は、非常に高度な技術を要しますので、「麻酔の必要がない程度の痛みしか与える事がない」とうたっている医療機関は、実際のところかなり少数しか無いのが現状です。
「痛み」には、どんな種類があるでしょうか?
①紙で指を切ってしまった時
②食べる時、ほっぺの内側をかんでしまった時
③縫物、画鋲などで針を刺してしまった時
④良くないと分かっていても・・・カサブタを取った時
⑤予防接種、採血などで針を刺す時
どれも「痛い」です。①~③は、いわゆる「事故」で、予期できませんが、④⑤は、痛いと分かっている行為です。
痛みにも、「ピン」から「キリ」まであるのです。
手術のように皮膚を切る行為に麻酔は必須です。それは、痛みの「ピン」だからです。逆に「キリ」くらいの痛みが想定内ならば、麻酔は不要です。大腸内視鏡検査を行うにあたり、「キリ」くらいの痛みしか与える事がないと想定できれば、麻酔は不要ということです。
「ちょっと待った!!私は、前回、大腸の内視鏡検査を受けた時、非常に苦しくて、いわゆる「ピン」の痛みだったんです!お産にも代え難い経験をしました!!」
残念ですが、そのような経験をされた方がいるのは少なくありません。そのような痛みの原因はどこにあるのでしょうか?
痛みの原因が本人にある場合もあれば、検査をする医師にある可能性も十分にあります。
もし、本人の体質に何か問題があるのであれば、どんな内視鏡の達人が検査をしても痛い思いをする事になりますが、それは正直ごくわずかです。ということは、逆に殆どの患者さんは、ちょっと我慢すればクリアできてしまう「キリ」の程度の痛みで検査を終わらせる事が可能という事です。
つまり、医師に原因があるという事も、十分にあり得るという事です。「前回の検査は、とてつもなく大変だったのに、今回の検査は嘘のように楽だった」という話は、全く珍しくありません。何が一番違うのかというと、検査を受けている医療機関、もっと言えば、検査を行っている医師が違うからです。非常に簡単な話です。
しかし、痛みの原因が患者さま側にある場合、その理由を医師の技量が少なく、正確に説明できなければ、それは医師側に問題があり、時には、医師の技量が足らないのが原因であっても、「原因が患者さま側にある」と、説明されてしまいます。
典型例は「あなたの腸は長いから」です。
そう言われてしまうと、あたかも自分に原因があるのかと思います。しかし、腸の長さというのは個人差があり、本当に腸が長い人もいますが、そう言われたからと言って、全ての患者さまの腸が長い訳ではありません。
では、それが本当にそうなのか?それを証明するには、別の病院、あるいは別の医師に検査をしてもらう事です。もちろん麻酔ナシでです。「麻酔をかけて、痛くない検査を提供する」なんて言うのは、当然であって、お金もリスクもかけてる訳ですから、それで痛かったら問題外です。要は、麻酔をかけなくても、「キリ」くらいの痛みで検査ができるかどうかです。
麻酔の長所
①「痛みが無い」
麻酔の短所
①「痛い」という警告がなくなり、腸に穴をあけてしまう危険性の増加。
②病変があっても、その場で本人に見てもらう事ができない。
→どのような病変があったのか、その場で説明できない。理解度の低下。
③説得性の低下 (その場で質問もできず、映像を見ながらの説明も聞けない)
→番組で見た事のある腸の内部の映像が、自分自身のものが映っていても、見ることができない。
④麻酔に関する薬剤の使用、点滴、検査中のモニタリングなどにより、検査に要する費用も増加する。
⑤点滴・薬剤による予期せぬアレルギー等の発症の可能性がある。
⑥麻酔のレベルにより、低酸素脳症などにより思わぬ重篤な後遺症を招く恐れがある。
⑦麻酔が確実に覚めるまで、安静が必要で検査後にすぐに帰宅できない。病院の滞在時間が長くなる。
→点滴を刺して、検査中モニタリング、麻酔が覚める確認、その後の安静を要する。
「サッ」っと来て、「サッ」と帰ることはできず、「2年に1回、気軽に受ける」という解釈とは、かけ離れてしまう。
⑧麻酔覚醒後は、車の運転が禁止なので、一人で来ること、帰ることができない。
⑨検査中に会話ができない。
⑩麻酔による影響で、その後気分の不快が生じたり、しばらく眠気が生じて何もできない。
ざっと麻酔をかけるデメリットというのは、こんなに存在するのです。
この中で、比較的大きな要因として挙げられるのが、「検査自体が一日仕事になってしまう」ことです。麻酔をかけてしまえば、検査後、数時間は院内で安静にして、確実に覚める事を確認してからでないと、安心して帰宅はできません。もちろん、車を運転して帰るなど、もってのほかです。帰宅してからも、薬の影響で眠気、だるさ、気分不快が現れる方もいます。
人口の多い都心の医療機関は、「当院は、無痛大腸内視鏡検査を!」と、表記している医療機関は山ほどありますが、それは、麻酔をかけてでの話で、それがなぜ受け入れられるのかというと、患者さんの交通手段が「電車」だからです。当院を含め、多くの地方の医療機関は、自家用車での来院が一般的です。ですから、誰かに送迎をしてもらわないとなりません。
誰かに送ってきてもらうのも結構ですが、連れてきてくれる人が有給をとったり、都合を調整して、どうにか時間を作って来たりとか、どこかを犠牲にしなければ、病院に行けないという方も沢山います。
こういった形で周囲の人手も必要になり、やはり、検査自体が、「大仕事」になってしまいます。当院で検査を受けられた方は、短時間に検査が終了し、麻酔もかけないので、「車で帰って、昼食はどこかで食べて・・・」という方が殆どです。
深谷なんて、めったに来ないから、ネットで美味しいお店をさがしてみたり、女性同士のお友達 2~3 人組が同じ日に検査を予約して、検査終了後に、「これから皆でランチです!」という話は全く珍しくありません。
男性では、いわゆる「つなぎ」の服装で、検査終了後には、明らかにこれから仕事でしょ、という服装で検査を受けにくる人も珍しくありません。
また、炭酸ガス送気装置を導入したことにより、検査後の腹満感も飛躍的に軽減され、患者さんの「束縛時間」「腹満感の継続時間」はさらに短縮しました。
当院の場合、午前 9 時から検査が開始し、午前 11 時前に 4~5 人の方の検査が終了します。しかも、検査するブースは一か所だけです(大病院のように、何か所もありません)。
内視鏡検査室に携わったことのある医療従事者であれば、麻酔ナシで一つのブースで、5人を2時間以内で終わらすということが、どれだけ難しい事かは、想像できると思います。
また、「検査中に会話ができない」というのも、非常に大きなデメリットです。「後で話せばいいのでは?」と思う方もいるかと思いますが、検査が始まると、自分の腸を始めて見て、興味深々に観察する人は沢山います。その時に同時に病気の説明や、治療の必要性の有無をその場で話してしまえば、麻酔が覚めてからダラダラと話す時間は必要ありません。
そして、ポリープや、憩室、炎症、腫瘍などが目の前に現れたり、手術によってできた腸の繋ぎ目だとか、便の残渣が見えてきたり、消化の良いもの悪いものなどもクッキリわかり、その場で質問したい事も沢山でてきます。
さらに、今回検査を受けたキッカケが、例え便潜血検査が陽性になったという場合であれば、その検査のカラクリを話したり、症状が無くても定期的に検査を受ける事がどれだけ重要なのか、という事を説明できたりするのです。
もちろん、検査自体が痛くてどうしようもなければ、このような会話は成立しません。ですが、当院の場合、検査の終了と同時に十分に説明に納得できて、帰宅される患者様が殆どです。
多くの患者さんの検査後の感想は、「思ったより楽だった」「前の病院よりも楽だった」「胃カメラより楽だった」「前回よりも楽だった」「待たされなかった」「これくらい(の痛み)で済むのなら、またここで検査を受けたい」「これなら、安心して家族、仕事仲間に勧められる」と言った意見を沢山頂いております。
しかし、約1~2%に、どうしても挿入が難しい方がいます。このような場合には、別のページでも述べましたが、径の細い胃カメラ用のファイバーに交換したり、あるいは決して無理をせず、途中でやめて、麻酔を標準で行っている医療機関を紹介いたします。
その場合は、いままでに述べた「長所」は無くなってしまいますが、極度の苦痛を伴う方であれば、たとえ検査が一日仕事になってしまっても、痛みが無い方がはるかに有益性が高いので、麻酔下で検査を受けることをお勧めします。
私自身、これまで約25,000人以上の内視鏡検査をさせて頂きましたが、挿入が非常に簡単な人(1~2分前後で入ってしまう人)から、20分かけても入らない人まで、難易度には非常に差がありますが、これは患者様の個人差によるものです。実際、多くの場合は数分で挿入が可能で、麻酔を使用した方がいいなと思う患者様は200人に1人(0.5%)くらいです。
ならば、99%以上の麻酔を必要性を感じない患者様にまで、リスクを背負わせて、麻酔をかける必要があるのか?という事です。過去に一回受けた大腸内視鏡検査がとても辛かったから、「私の腸は、難しい腸なんだ」と考えてはいけません。
まず自分の腸の難易度が高いか低いかは、複数の医療機関で受けてみないと分かりません。人の噂ばかり気にして、闇雲に麻酔をしている所で・・・と考えず、麻酔なしで、自分の腸の挿入難易度がどんなものか?を追求するのも大切です。そして、少数派の「難しい腸」である事がわかれば、次回から麻酔を行っている医療機関で受ければよいのです。
外傷(ケガ)に例えれば、ちょっと擦り剥いた、打撲した、切ってしまったという程度で、大学病院の受診が必要でしょうか?
交通外傷などで、強打した。手足の変形、骨折の疑い、意識が・・・ という方に、小さなクリニックで済むでしょうか?
もちろん、どちらも「No」です。「ケガの程度」によって、受ける医療機関が変わるのは当然です。
大腸検査も同じように考えてください。実際問題、麻酔を必要とする人は、ごく少数です。「この程度の痛みなら2年に1度くらい大丈夫」と感じられ人は、麻酔のリスクを背負わず、麻酔なしで小さな医療機関で受ければよいのです。
逆に非常に大変な人は、麻酔のできる施設で受ければよいのです。「ケガの程度」と「腸の程度」は同じように考えて、必要のない麻酔をかける事は、危険の増加と無駄な時間と金銭的負担を背負うことになるのです。「ケガの程度」と同様に、「腸の程度」によって受ける医療機関が変わるのも当然です。
注意しないといけない点は、「どこで受ければ良いのか?賢い病院えらび」でも書きましたが、苦痛度は、検査をする医師の技量に非常に左右されるので、経験の浅い医師が行えば、全ての患者さんが「難しい人」と判断されてしまいます。経験の豊富な医師を探して、難しいかどうかを判断してもらうことが賢明です。
最も痛みに関与する原因は、挿入前半のS状結腸の形状にあります。
S状結腸は、直腸と下行結腸に挟まれている部位で、直腸は骨盤周囲に、下行結腸は腹壁(左の背中の裏側あたり)に固定されています。しかしS状結腸はどこにも固定されておらず、腹腔(ふくくう;お腹の中)内を比較的自由に動き回ることができます。
ここに内視鏡が通過すると、S状結腸は自由に動きますので、「α」や、「の」、「N」の字のように、曲って入ることがあります。内視鏡の上級者であれば、このカーブを作らずに下行結腸へ挿入しますが、仮にループを形成しても、うまく内視鏡を手元で回転して解除し、さらに奥へと進んでいくのです。
この回転はもちろん患者さんのお腹を見てもわかりませんし、レントゲンを使ったら、被爆をします。あくまでも、検査をする側の押した時、引いた時の画面の変化、手に伝わってくる感覚で感じ取り、その回転、たわみを「感覚」で解除しているのです。
検査をする側の技術が最も問われる難所です。回転そのものが起こらなければ問題ないのですが、この解除ができなければ、その先に進むことは不可能で、痛み少なく盲腸にまで挿入することはできません。
ループを形成させずに挿入することが痛みを起こさない最も大切なポイントですが、中には、ループをつくっても、苦痛を訴えない方もいます。仮に形成されても、解除が簡単な方もいます。中には、腹部の手術の経験があり、腸が癒着している方などは、その回転の解除が困難であることがあり、我々も難渋するところです。
ひと昔前の内視鏡検査はレントゲン(透視)を使いながら行なっていました。つまり被爆をしながら検査を受けていたことになります。
しかし、機械の進歩はめざましく、当院では、内視鏡がいま実際お腹の中でどんな形をしているのかを、レントゲンを使う事無く、内視鏡自体に組み込まれた装置によって、3次元画像をモニタに映し出し、回転していれば容易に解除することができる装置、通称「コロナビ」(コロンとは大腸の英名、ナビは、ナビゲーションの2つの単語を短縮した造語)ができたのですが、それがどこまで患者様に有効に機能しているのかは、正直、検査をする医師の技量に全て依存しています。
現在よく挿入法の話題で出てくるするようになった「軸保持短縮法」というのは、このようなループを形成する前の段階で、引いて、先の穴をふさいでいる粘膜を内視鏡の先端のフードを利用してよけて、先の穴を見つけて更に先に進む手技です。大腸内視鏡に関わる医師が絶対に習得しないといけない挿入法と言っても過言ではありません。
「当院はこの方法で入れています!」と豪語しているホームページを見かけますが、実際に全ての患者さまに、この方法で挿入することは不可能です。上達すると、この方法で挿入できる患者さまの割合は確かに増えてきますが100%ではあり得ません。
つまり、「全てこの方法で入れています」というのは、単純に嘘です。腸には個人差が大いにありますので、全ての患者さまにおいて、この方法が一番楽という訳ではありません。
要は、個人に応じた苦痛のない満足できる挿入ができれば、わざわざ「軸保持短縮法」にこだわる事は全くないという事です。医学的用語が頻繁に飛び交うようなテクニックをアレコレするする会話は、患者様にはどうでもいい話であり、被験者は、「どうでもいいから、早く、楽に終わって欲しい」としか思っていません。
そして、それがって叶って初めてリピーターとして「またここで受けたい」という感情を生むのです。皆様の地域の周囲には、噂を聞けば、必ず大腸内視鏡検査の評判のいいクリニック、個人的な病院の先生などが少なからずいるはずです。
インターネットなどで情報は沢山ありますので、よく調べて、「ここが一番よさそう」と思った所でまず受けてみるのが最善の策だと思います。
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